ドイツへ移住する際、私たちは一緒に猫達を連れてきました。
今回は猫を海外へ渡航させる際の最初の準備と、実際に起こったトラブルについてご紹介します。
また、そのトラブルを避ける方法についてもご紹介しています。
私自身は海外へ動物を輸出入をするのは初めてではありません。
過去に、猫、そしてうさぎを飛行機にのせて海外と日本を行き来してきました。
また、以前に海外動物病院にて検疫業務に携わっていたこともありますので、その点も踏まえてのアドバイスとなります。
今回は私たちの渡航先、ドイツに主に焦点を当てています。
しかし、他の国に移住される時も、大まかな流れは同じになります。

ペットと一緒の海外移住の参考にしてください!
目次
始めにやることリスト
渡航先の検疫の情報を集める
これがなくては始まりません。
まずは自分とペットが移動する渡航先の検疫情報を集めましょう。
まずは日本の動物検疫所のページを確認してみてください。
動物の輸出入に関して詳しい記載があり、とてもわかりやすく説明されています。
また渡航される国ごとの検疫の取り決めを、各国の在日領事館や大使館のホームページなどで確認するようにしてください。
このブログも含めて個人のブログやウェブサイトなどに「これとこれとこれが必要だった」とありますが、検疫の内容は頻繁に変更されます。
獣医さんに相談に行く
渡航が決まり次第、早い段階で獣医さんに相談にいきましょう。
年齢や健康状態また種類によっては、渡航がおすすめできないこともあります。
渡航国によっては1年や2年など、かなり長いスパンでのワクチンの準備が必要なこともあります。
必ず十分に時間に余裕を見て準備してください。
正直なところ、人の準備よりペットの準備の方が時間がかかることも多いです。
- マイクロチップ装着(必ず狂犬病接種前に装着)
- 狂犬病予防接種
- 混合ワクチン摂取
今回のドイツ渡航の場合、書類の記入は日本の空港検疫所の獣医師に依頼する必要がありました。
そのため、かかりつけの獣医師には渡航のための書類記入はお願いしていません。
いずれにしろ、予防接種の証明書は渡航してからも必ず必要になります。
ワクチンを接種した獣医師に発行してもらい、大切に保管してください。
また、マイクロチップ装着後、日本獣医師会に登録を行います。
こちらは郵送手続きになりますので、こちらも時間に余裕をもって行なってください。
実は、この作業は渡航に際し必須かどうかわからなかったので念の為に行いました。
結果的にはやらなくても大丈夫でした。
マイクロチップの取り扱いがない動物病院もありますので、事前に電話等にて扱っているかどうかの確認をしてください。
マイクロチップには規格違いがあります。
主に『ヨーロッパ規格』と『アメリカ規格』です。
ドイツへの入国の際は『ヨーロッパ規格』でのマイクロチップが必要になります。
取り扱いのマイクロチップ規格の確認も重要です。
通常、日本では猫には狂犬病ワクチンの接種をしません。
しかし、狂犬病は犬猫かかわらずかかってしまう病気であり、人にも感染する非常に恐ろしい病気です。
また、ごく稀に一部のワクチンに対してなんらかの拒絶反応がでてしまう犬猫もいます。
そのため、狂犬病と混合ワクチンは別日に分けて打つことをおすすめします。
航空会社のペット輸送に関する規定をチェックする
航空会社によってペット輸送の際の規定は様々です。
- ケージのサイズや材質
- 利用する時の注意点
また、客席エリアに載せるのか貨物室で輸送するのかの規定も違います。
機内に持ち込む場合は頭数制限がある場合も多いので、直接航空会社に電話で確認するのがベストです。
また事前の予約の必要もあります。
こちらも早めに問合せを行ってください。
可能であれば、人間の航空券をとる前に確認するのがベストです。
検疫所に検疫の予約をする
渡航日、渡航便が決まったら使用する空港の検疫所に渡航検疫の予約を入れましょう。
そして書類の送付に関する指示を受けてください。
またホームページではわからなかった情報があれば、電話でも丁寧に相談にのってもらえます。
ケージに閉じ込められることに慣れさせる
とってもとっても大事なことの一つです。
輸送はどうしても長時間に及びます。
猫の場合、狭い空間に閉じ込められるのはさほど苦痛ではありませんが、できれば快適に過ごしてもらいたいですよね?
- キャリーの中にお気に入りのベッドやおもちゃを入れる
- キャリーの中でだけ特別なおやつがもらえるようにする
- 普段から行き来ができるようにしておく
上記のような対策をしておくと、キャリーにいることが大好きになってくれることが多いです。
また、災害対策としても、普段からケージに慣れさせておくことは重要です。
我が家は早い段階でペットキャリーに慣れさせる為に、飛行機を予約した時点で受入可能なケージの大きさを確認しペットキャリーを購入しました。
- 餌入れ付きペットキャリー
- ウォーターノズル
- ふわふわベッド
- 防水ペットシーツ
ウォーターノズルとペットキャリーのメーカーが違う場合、装着できないことがありますのでペットショップ等の店頭で確認されると間違いがありません。
渡航時は、防水ペットシーツ+ベッドを敷いてます。
うちの猫もペットキャリーには最初は警戒して中にはいってくれませんでした。
しかし、ここで「チャオちゅーる」の登場です。
今まで一度もあげたことがなかったのですが、この日の為に用意しておきました。
そもそも我が家はおやつをあげる習慣は設けておらず、おやつがもらえるのは
に、限定していました。
付属の餌入れにチャオちゅーるを入れ、ペットキャリーの奥へ・・・。

ねこ
キャリーの中で無事おやつを食べたよ!
一度入れれば大丈夫なのでペットベッドを中へ設置し、夜はペットキャリーの中で寝てもらうようにしました。
ノミ取り薬の実施
我が家は完全室内猫ですので、ノミに感染するリスクはかなり低めではあります。
しかし、冬の終わりであったことと、子供が持ち帰ってくる可能性を考慮し、約半年ぶりにノミ取り点下薬を使用しました。
今回はレボリューションという薬を半年間使用しました。
次にやることリスト
常に渡航のための最新の情報を集める
しつこいようですが、渡航準備中も常に最新の情報を確認してください。
- EU統一書式に従い、動物検疫所の獣医官が英語またはドイツ語で記入した検疫証明書
- 統一書式に従い、ペットの飼い主が記入した申告書
- ペットの皮下に埋め込まれたマイクロチップ
- 生後12週以上の場合、狂犬病のワクチンを接種してから21日以上を経過していること
検疫証明書は出発する空港の検疫所に事前に予約をし、作成してもらいます。
我が家は早朝便を利用する予定だったため、前日に予約をとりました。
日中もしくは夜便であれば当日の検査でも大丈夫です。
航空会社へ『ペット輸送』の予約をいれる
今回、私たちが利用した航空会社はポーランド航空とANAです。
- 猫の年齢
- 頭数
- ケージの大きさ
- ケージの重量、猫の体重

ねこ
間違いなく伝えられるように準備しておきましょう!
我が家の場合は猫ですので、大きさ規定は大丈夫でした。
大型犬の輸送を計画している場合はポーランド航空だと難しそうです。
猫をドイツに輸入する際にあった問題点
今回起こった問題の理由
今回、猫と一緒に海外移住をする際、事前準備をしっかり行いました。
しかし実際は大きなトラブルが発生しました。
- 猫が二匹ということ
- 航空機の制限があったということ
- 途中で違う航空会社に乗り換える必要があったということ
正直、この三点がなければ、日本からの輸出そしてドイツへの輸入は非常に簡単でした。
以前にアメリカから日本へ猫を輸入したことを思えば雲泥の差でした。
「猫が二匹」という問題
今回、ドイツ渡航にあたる工程の中に、プロペラ機の使用がありました。
- 貨物室へはケージが一つしか入れられない
- 手荷物ならばケージを二つでも持ち込みOK
航空会社的には手荷物が推奨のようです。
個人的には機内持込よりもカーゴへの持込を希望していましたので、そのように航空会社に伝えました。

ポーランド航空
猫二匹を一つのケージに入れるのなら良いですよ。
との返答を得ることができました。
また、予約の際にはケージのサイズ、猫の年齢、ケージを含めた重量の確認を行いOKを頂きました。
あとは、国内線から国際線に乗り継ぐ際、航空会社が変わります。
国内線利用であるANAへも許可を得るようにとの指示があり、ANAへも電話しました。
こちらでは、
(国際線航空会社さん)から猫の輸送に関して、そのように指示がでているなら、うちもOKです。

ANA
との回答をいただきました。
実はそれまでにケージをすでに2つ用意していたのですが、急遽一つのケージに入れていくことになりました。そのため一つをあわてて処分しました。
出発日前日の検疫から入国まで
出発日前日の行動
国内線の出発は早朝の予約でした。
その為、猫の検疫を空港の検疫所で受けられるよう前日に空港入りをしました。
事前に検疫所から必要書類を伺っていた為、検疫所では問題なく猫の検疫は完了しました。
健康診断および書類作成に、1時間ほどかかっています。
検査官の皆さま(獣医師の方々)は本当に良い方ばかりで未だに感謝感謝です。

検査官
検疫の書類は入国の際にみせてくださいね。
と指示を受けたので、各書類をすぐに取り出せるよう、手荷物のカバンにしまいました。
それから検疫済みの印のタグがケージにつけられ、晴れて日本での出国検疫完了です。
この日は、空港そばのペットホテルに二匹を預け、次の日の早朝にお迎えに行くこととなりました。
この日は何事もなく、滞りなく全てスムーズに完了いたしました。
出発日当日(大問題発生)
この日の様子は時系列でお送りします。
空港から徒歩3分のホテルに一泊した為、朝5時に起床。
前日に荷物を全てまとめておいたので身支度をしてすぐに出発です。
この時点での計画です。
- STEP
AM6:00
猫をペットホテルでピックアップ
- STEP
AM6:30
宅配しておいたスーツケース をピックアップ
- STEP
AM6:40
スーツケース を預けてチェックイン 完了!
- STEP
AM7:15
空港横のホテルで朝食終了!搭乗ゲートへ移動する!
上記のように計画をしていましたが、全くこの計画通りにはいきませんでした。
AM6:00
猫達を空港横のペットホテルでピックアップ。
朝は食事もOK、トイレもOKだったということで一安心しました。
お迎えは速やかに終わった為、空港のロビーへ猫を連れていきました。
空港へ事前宅配しておいたスーツケースの受け取りが朝の6時半からでしたので、ロビーでしばらく待つこととなりました。
AM6:30
スーツケースを受け取り、航空会社の荷物預け入れのANAの国内線カウンターへ並びました。
途中、ANAのグランドホステスの方と猫の輸送についてやりとりがありました。
ケージが小さめですが大丈夫ですか?

ANA
と質問をされましたが、

(国際線航空会社)に確認済みです。
と返答するとOKでした。
欧州は特にペット愛護に関して厳しいので、ケージサイズが小さすぎると輸送が許可されない事があるそうです。
AM6:40
並び始めてから10分後にカウンターに到着。
ANAが乗り継ぎの国際線航空会社へ猫の輸送の連絡を行ったところ、
理由としては、
猫の年齢が6ヶ月を越しているということ。

ポーランド航空
6ヶ月を越した年齢の猫を二匹同時に一つのケージにいれることはできません!
との理由で国際線航空会社から乗船を拒否されました。
しかしながら、事前に航空会社に猫の年齢は伝えています。
また『国際線航空会社の指示にて今回一つのケージに猫を二匹入れている』という事を再度お話ししました。
ANAの記録には、やはりそのように記録が残っており、グランドホステスの方が再度、交渉を行ってくだいました。
が、先方からは

ポーランド航空
駄目です!
の一点張りです。
AM7:30
この時点で、出発まで残り10分です。
約1時間近くANAの方が交渉をおこなってくれましたが、猫の搭乗許可がおりません。
グランドホステスの方も私たちも相当焦り出しました。
そして最終的に私が直接、国際線の航空会社の方とお話しすることになりました。
先方に伝えたことはこの3点です。

- 事前に、猫の年齢は伝えてあった
- 音声録音にて会話の記録を確認できるはずである
- もともと別の輸送方法を準備していたが、そちらの指示にて今回の手段をとっている
結果的に、

ポーランド航空
国内の乗り継ぎ地までの輸送はOKです。
乗り継ぎ時刻までに本社に確認し、猫が出国できるかどうか決定します。
との返答を頂きました。
急いで国内線の猫の輸送費の清算を行い、ANAの方と荷物をもって搭乗口まで猛ダッシュです!!!
荷物検査も割り込みをさせていただき、即終了。
運の悪いことに、一番奥にある搭乗口でしたので、子供達も私も必死で走り抜けました。
ANAの方にご迷惑をおかけしたことを陳謝しますと、
お客様の過失ではありませんよ!
ちゃんと準備されていましたよ!

ANA
と慰めていただき、涙がでそうでした・・・。
なんとか搭乗に間に合い、無事に経由地まで出発です。
飛行機に乗り込み、離陸までに急いで実家の母に、

もしかしたら猫達が送り返されるかもしれません。
との連絡をしました。
国内経由地にて
無事に経由地に到着し、降り口で待っていてくださったANAの職員の方と合流しました。
結果としては、国際線へもフライト中に搭乗OKの許可がおりていました。
最初の出発地にて猫の出国手続きが完了していない為、再度国際線航空会社のカウンターにてチェックインを行う事となりました。
通常の乗り継ぎの場合、乗り継ぎエリアの外には出ずに出国手続きが可能です。
しかし今回は一度猫達を受け取り、職員さん同伴にてエリアの外に出て出国手続きを行う事となりました。
国際線カウンターでは、

予約の際の電話でのやりとりの際にこちら(航空会社)の指示にミスがありました。
とのことで、今回に限り猫達の搭乗が認められた事が伝えられました。
猫達の様子は少し緊張している様子も見られましたが、二匹一緒のせいか比較的落ち着いてました。
ほっと一息です。
再度、カウンターにて手続きを行い猫達を預け、私たちの出国手続きを行い無事に出国することができました。
その後、朝ごはんを食べ損ねた為、急いで出国ロビーで朝マックを購入。
これが日本で食べた最後のご飯となりました。
入国手続きにて
シェンゲン協定の関係で、入国の手続きは経由地のワルシャワで行う必要がありました。
その為、また長いフライトを終えた猫達をワルシャワで一度受け取り、再度検査を受けました。
飛行機をおりると今度は屈強な男性二人が待ち構えており、

猫のチェックいくから着いてきてねー。
と案内されました。
この時に検疫の書類チェックがあるのかと思い用意をしていましたが、
書類のチェックは一切なし。猫の検査も全くなし。
一度、猫達をケージの外にだし、ケージのみのX線検査を行いました。
再度、猫達を預け人間の入国審査を受けました。
行きの航空券しかもっていないし、何か質問されるかな?と待ち構えていましたが、何事もなく審査終了。
次の乗り継ぎまでロビーで待つこととなりました。
待合のロビーでは、とにかくペット連れの方が非常に多いのが印象的でした。
ほとんどの方が背中に背負うタイプのケージを持参していました。
リードをつけて歩いている犬も沢山みかけました。
最初に手荷物での持込を案内された際にケージのサイズが高さが20cmまでと指定を受け、探したのですが見つける事ができずに断念していました。
ネットで見つけサイズ違いの為諦めたケージを持っている方も多かったので、サイズについては多少のことはあまり追求されないのかな・・・?という感想です。
ドイツ入国にて
飛行機をおりて、猫を受け取り、スーツケースを受け取り、出口をでる。
本当にこれだけでした。
一応、出口で「申告があるもの人用」出口に行きましたが、

猫?なんもないよ。そのまま通っていいよ。
とあっさり1秒で終わりました。
結局、検疫の書類のチェックは一度もありませんでした。

猫の年齢、どうでもいいじゃん・・・・。
と、言うのが私の感想です。
でも、無事に到着できて本当によかったです。
まとめ
- 狂犬病注射を忘れずに!混合ワクチンも!
- ワクチンの証明書も含め、書類は事前に検疫所へメールしておく。
- 航空会社とのやりとりは、必ず記録を残しておく。
- (日系航空会社がOKなら)ソフトバッグにて機内持込が楽。
- 極力、乗る航空会社は一つがベター(輸送費がダブルでかかります)
そして・・・・
海外に猫と一緒に移住をしたい方の何かの参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!