海外移住の前に必ず行っておいた方が良いこと。それは歯の治療です。
もちろん移住先にも歯医者さんはあります。
しかし、やはり言葉のリスクやシステムの違い、保険システムの事を考えると日本からの出国前に治療を終了させておくのが一番です。
実際のところ海外在住でも、病気の治療や歯の治療は日本への一時帰国中に行う人も多いです!
ドイツへの移住前、私は虫歯の治療と親知らずの抜歯を行ってきました。
虫歯の治療については通常の歯科医院で行いました。
しかし、『親知らず』についてはポンっと1日で抜くパターンではありませんでした。
歯科大学病院にて3日間の入院が必要な『超難抜歯』だったのです。
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今回は、超難抜歯の親知らずの治療完了までの経緯の1ヶ月の記録をご紹介します!
目次
歯科医院からの紹介状
小さな虫歯の修理と、歯のクリーニングの為に最初に歯科医院を訪れましたが、治療前のレントゲン写真にて親知らずについて指摘を受けました。
私は、過去に別の歯科医院にて2本の親知らずを抜いてます。
上の親知らずで綺麗にまっすぐ生えていた為、日帰りで2本同時にあっさりポンと抜けました。
超楽々な苦痛のない抜歯で、まったく問題ありませんでした。
しかし、残っていた下の親知らずは、このような有様でした。
- 歯茎内に埋没
- 下向きに斜めに生えている
- 根元があごの神経に触れている
- 親知らずが隣の臼歯の根元下にめり込んでいる
これまで診てもらった歯科医院からは、かなり難易度高めの抜歯になるとの指摘を度々受けていました。
![歯医者さん](https://kotorank.com/wp-content/uploads/医者のアイコン素材-4.jpeg)
歯医者さん
全身麻酔で、大学病院などの専門の病院でないと抜歯は無理です。
さらに、今回うかがった歯科医院では、このような指摘をうけました。
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横の臼歯と親知らずの隙間が、虫歯になりかけている可能性があります。
親知らずを抜歯しないと治療できません。
幸いにも自宅の近所に歯科大学付属の病院がありました。
その為、歯科医院からの紹介状を頂き、帰り道に予約を早速取りに行くことにしました。
歯科大学付属病院にて予約をする
本当は初診の予約に伺ったのですが、たまたま予約に空きがありました。
そのため、ラッキーな事に、すぐに診てもらうことができました。
先生の問診のあと、再度レントゲン写真の撮影を行いました。
レントゲン写真の結果はやはり歯科医院で指摘を受けた通りでした。
- 状態としてはかなり最悪
- 早急な抜歯が必要
- 特定の歯科医しか行えない教科書レベルの超難抜歯
- 抜歯後の大変にひどい腫脹および痛みが想定される
手術は入院初日に行いますが、その後に痛み止めと抗生剤の点滴が必要でした。
その為、入院と手術の予定はこのようになりました。
- 入院期間は3日間(金土日)
- 手術時は眠るお薬を使用して行う
まず、担当してくださる先生の予定と私の仕事の予定を調整しました。
診察後には入院前検査の為の採血と尿検査を行い、手術を行えるかどうかの検査をしました。
その後、看護師さんから、入院時の説明と入院計画、持ち物等の説明を受け、1ヶ月後の抜歯手術を待つことになりました。
手術日および入院1日目〜退院まで
手術日当日、入院の為の準備をし、予約していた時間に入院病棟に行きました。
入院の為に持参した持ち物は、以下の通りです。
- ペットボトルの水
- 寝巻き
- 歯ブラシセット
- 食事用コップ
- フォークとスプーン
- 暇つぶしのもの色々
実は入院用のお知らせ用紙には、「お箸」となっていました。
しかし、個人的に絶対におすすめしたいのが、「フォークとスプーンの持参」です。
理由としては、抜歯後の食事は全がゆ+刻み食です。
お箸では、非常に食べにくいと思います。
また、持ち物ではパジャマとありましたが、私は半袖シャツと部屋着用のズボンを用意しました。
寒さ対策の為にカーディガンを一枚持参しています。
半袖のパジャマがある方はパジャマで良いと思います。
しかし、点滴をすることになりますので、長袖は避けた方が良いです。
長袖はいちいち捲るのがとても面倒ですし、まくっても落ちてきてしまうことがあります。
また、袖の形状によっては捲った時に不必要に上腕の圧迫があり、駆血されてしまうと点滴に支障が出ます。
さて、当初の手術の開始時間の予定は午後1時でしたが、急遽午前11時からの開始に変更となりました。
手術前に体温測定をし病室行き、部屋着に着替えました。
この時点で、心の中は術後の痛みと腫れに不安がいっぱいでした。
同室にはその日手術をする患者さんが他にもいました。
そして、順番に薬剤師の先生がお薬についての説明に回っていました。
ほぼ同時に入室したお隣の患者さんは、痛み止めで「カロナール」というお薬を処方されていました。
この時点で、ちょっと私は油断してしまいました。「カロナール」はどちらかというとマイルドな鎮痛剤です。
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なーんだ、カロナール程度の痛みと腫れなのね。
と、完全に安心していました。
お隣の患者さんへのお薬説明が終わり、いよいよ私へのお薬説明です。
私に出たお薬は、
- 鎮痛剤・・・ロキソニン60mg(1回2錠)
- 抗生剤・・・退院後1日分
- 消毒薬・・・ポピドンヨード(うがい用)*イソジン
この時点で、ガーンガーンガーン!!!と、激ショック!!!です。
私に処方された鎮痛剤は、カロナールではなく、ロキソニン。
しかもMAX処方です。
思わず薬剤師の先生に、
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・・・ロキソニンMAXなんですね・・・。
と、涙声で言ってしまいました。
薬剤師の先生は大変にさわやかに、
相当難しい抜歯ですからね。
大分痛いかもしれませんねー!
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と、笑ってました。
でもまあ痛みは個人差があるから、もしかしたら痛くないかもしれません。
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と、慰めてはくれました。
お薬の説明のあと、針を刺し点滴を開始しました。
10時半を回った頃、看護師さんがお迎えに来てくれて、がらがらと点滴スタンドを自分で引っ張りつつ手術室へ移動しました。
ちなみに手術室といっても、通常の診療にも使われる処置室で以前に問診を受けた場所と同じです。
いよいよ手術のはじまりです。
手術室にて抜歯開始
手術室に行くと、歯科医学生や研修医の先生が見学の為、相当数スタンバイしていました。
超難抜歯の為、見学することになったそうです。
おなじみの歯医者さんの椅子に座り、血圧測定用のマンシェットが右腕に巻かれました。
血圧は2分おきの自動測定がセットされました。
血圧はそこまで高くなく、脈も普段より多少早い程度でした。
続いて、指に血中酸素濃度(SpO2)を測る機械を装着しました。
手術時間となり、今回抜歯をしてくださる先生に挨拶をして手術開始です。
別の先生が、「ドルミカム」という眠るお薬を投与し、私は数秒でそのままスコンと眠ってしまいました。
記憶上、1回目にうっすら目が覚めたのはぴったり30分後の11時半です。
壁の時計で確認した記憶があります。
ちょうど右の一本目が抜き終わったところのようで、左の抜歯を開始するところでした。
ここで、一度記憶が途切れています。
次の記憶は、
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うわー、この歯抜けんな・・・!
という先生の声。
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抜けん。本当に抜けん・・・!
と何度か聞こえました。
そして、先生が私の上にほぼ馬乗りになって、何かを必死に引っ張っている姿が見えました。
麻酔が効いている為痛みは全くありません。
口の中がすごい力で引っ張られているような気がしつつ、再び意識がとぎれました。
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終わりましたよー。
と、声をかけられ目を覚ましました。
時計をみるとちょうど12時。
ぴったり1時間の手術時間で終了しました。
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先生の抜けん!!!って声が聞こえた気がします(笑)
と、言うと、
いやー。非常に非常に難産でした!(笑)
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と、先生も笑ってました。
(抜いた歯)いりますか?
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と聞かれました。
しかし特に使い道も思いつけないので、処分をお願いして手術は無事に終了しました。
病室にて(1日目):痛みなし
眠るお薬がまだ効いており朦朧としていた為、病室へは車椅子で移動です。
正直なところ意識が飛んでおり、手術室から病室への移動の記憶は全くありません。
病室へついてベッドによじ登り横になりましたが、また強い眠気に襲われました。
止血の為の大きなガーゼを一つずつ、抜歯した場所に噛み再び熟睡しました。
次に目が覚めた時は外は暗く5時ごろ。ちょうど夕食前でした。
食事の前に看護師さんに止血の状態を確認してもらいましたが、問題なし。
その日の夕食は知らされていた通り「全がゆ」+「刻み食」です。
特に注意されてわけではありません。
しかし奥歯で噛むのがはばかられ、前歯だけでおちょぼ口で食べました。
夜中に痛くなることを懸念し、念の為に夕食後に痛み止めを服用してから就寝しました。
手術日1日目終了です。
抜歯後の翌日(入院2日目):やっぱり痛みなし
1日目と同じく痛みは全くありませんでした。
違和感があると言えばあるかなあという程度です。
痛みスケールでいうならば、0です。
7時に起床し検温、その後朝食です。
昨日に引き続き、「全がゆ+刻み食」です。
奥歯で噛むのがやはり怖くて、相変わらずおちょぼ口で前歯だけで食べました。
朝食後には処置室に移動しての診察があり抜歯後の傷口の消毒を行いました。
その後は再び抗生剤の点滴です。
もともと丸顔ですが、さらに丸く・・・というより顔が四角くなりました。
先生からは2日目から3日目にかけてもっと腫れるとの宣告を受けました。
午前の診察後は特にやることはありません。
本を読んだり、語学の勉強をしたり、ネットを見たりのんびり病室で過ごし昼食です。
食事はやはり「全がゆ」+「刻み食」です。
またこの日は止血良好ということで、シャワー浴の許可が出ました。
シャワーを利用して、さっぱりとしました。
夕飯前に再び抗生剤の点滴です。
同時に傷口のチェックを看護師さんにしてもらいます。
点滴が終わりしばらくしてから夕食です。
あいかわらずの「全がゆ」+「刻み食」
さすがにそろそろ飽きてきて、硬いものが食べたくて仕方がありません。
本当は希望すれば普通食も選べたのですが、炎症予防の為と我慢しました。
週明けの月曜日から仕事に復帰せねばなりません。
ここで絶対に炎症を起こすわけにはいかなかったのです。
抜歯の後には抜いた場所にぽっかりと穴が空きます。
縫合にて穴を塞いであるわけですが、どうしても食事をするとその隙間に食べ物のカスが入り込んでしまう可能性があります。
入り込んでしまった後、すみやかに取り除くことができればいいのですが、ほじり出すことができません。
そのため非常に取り出すのが難しく、それが炎症の原因になるのです。
ちなみに痛みですが、2日目になっても全く感じません。
意味がないので鎮痛剤を飲むのも辞めました。
また指導があったわけではありませんが、早く傷を治す為なるべく首回りを冷やさないように心がけました。
顔が最大限に腫れているので、冷やしたいのはやまやまです。
しかし冷やしてしまうとどうしても血流が悪くなり、傷の治りが遅くなってしまいます。
抜歯後に顔を固定するバンドも使用していません。
しかし、使っている患者さんも見かけましたので希望すれば使用できると思います。
さて、就寝時間は夜9時。
特に何をすることもなく1日を過ごし、久々の何もしなくて良い1日を満喫しました。
抜歯後2日目(入院3日目・退院日)
この日も朝食は「全がゆ」+「きざみ食」です。
これでラストかと思うと感慨深かったのですが、やはりお粥は美味しく感じられませんでした。
噛みたい欲求がMAXで、痛みや腫れよりも「何か堅い物を噛みたい欲求」が入院中の一番の苦痛でした。
朝食の後は診察を受け、最後の抗生剤点滴です。
退院後は1日、経口の抗生剤を飲みました。
また1日に数回ポピドンヨード(イソジン)でのうがいでの消毒が必要でした。
この時点でも顔は真四角です。
昨日からさほど腫れが変わったようには感じませんでしたが、顔が二倍になった気がしました。
抜糸(歯医者さんは「ばついと」と呼ぶそうです。)の予約を1週間後に行い点滴を終え、晴れて退院となりました。
抜歯の忘備録
かかった費用について
あくまでも目安になりますが、かかった費用についてです。
今回は難抜歯2本+入院3日で、保険点数約9000点でした。
3割負担の人だと、約27000円です。
ちなみに、大部屋で個室は利用していません。
抜歯前の診察や紹介状を含めて、自己負担は3万から4万円程度となりました。
もちろん日帰りだったり、もっと簡単な処置であれば負担額は下がります。
親知らず抜歯の為の入院はお勧めか?
もう親知らずががないので100%無いのですが、もし私がもう一回親知らずを抜くなら今回と同じく入院を選択します。
というのも、やはり自分の感じている以上の身体の消耗を仕事復帰をしてありありと感じたからです。
出血もありますし、思った以上に体は消耗します。
もう1日休みを余分に申請するべきだったと、仕事初日に激しく後悔しました。
おそらく、日帰りや2日入院では職場でぶっ倒れていた事と思います。
顔の腫れと痛みについて
腫れは2、3日で治まると言われていましたが、結局腫れが完全に引くまで10日ほどかかりました。
途中「一生このままの顔で、治らないんじゃないか・・・?」と恐怖に怯えましたが、ちゃんと腫れはひきました。
ちなみに最後まで痛みはなく、抜歯した部分を外から触ると「痛いかな?」という程度で終わりました。
隙間に食べかすなどが挟まって違和感があることがあったのですが、うがいや水でやさしく押し流すように指導されました。
抜歯をして小顔になったか?
よく、親知らずを抜くと小顔になると言われますが、どうでしょうか?
残念ながら、親知らずを全部抜いても顔の大きさは変わらないようです。
まとめ
親知らずを入院して抜歯する際の、私が気付いた気をつけて欲しいポイントです。
- 紹介状をもっていく事
- フォークとスプーンを忘れずに
- 寝巻きは袖のゆるい物を持参
- 難しい抜歯でも痛みがない事はある
- 顔の腫れは覚悟する
- 可能な限り退院後も数日は安静にする
- 抜歯後の傷口のケアは慎重に!
難抜歯に挑む方の何かの参考になれば嬉しいです!